キリスト再臨


 イエス・キリストの再臨を見た。
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透析に来てる婆さんで、いつもメソメソと泣いては弱々しげにしてる婆さんがいる。身ぎれいにしてるけど、どうやら一人暮らしらしい。
普段は、よたよたと歩いて来るんだが、昨日は、「ヒザがいたいのぉ〜・・・」と言って車椅子使ってた。
で、透析終わって、帰り。「...歩かれないのぉ〜・・・」とめそめそ泣きながら、待合室に座り込んでしまった。付き添いに来てるおばさんたちがいろいろ話を聞いてあげてると、さらにめそめそと泣き言を並べ出す。
そこへ、ヘルパーさん登場。
「...立てないの? ....じゃあ、入院する? こんなんじゃ、帰ってからもダメだもんね? 入院しようか?」と呼びかけた。婆さん、最初は、聴こえない振りをしてたけど、ヘルパーさんが何度も耳元で、「入院! 入院しよ!」と大声で呼びかけるうちに、首をふるふると横に振り、イヤイヤをした。それでもつづけて、ヘルパーさんが、「でもそんなんじゃ、帰ってからどうしようもないでしょ? 入院しよう!」と呼びかけ、まわりのおばさんたちも、口々に「そーよ、そーよ、あぶないわよ、ねー?」と言い募るうちに、婆さん、ヨイショと立ち上がると、すたすたと歩いて病院を出て行った。
すげえ! 一瞬で足萎えが直ったよ!


 そして彼のもとに身体麻痺の患者が四人の者に担われて連れて来られる。そして群衆のせいで彼のもとまで連れて行くことができなかったので、居る場所の屋根をはがして穴をあけ、患者が寝ているとこをつり下ろす。そしてイエスは彼らの信頼を見て、(中略)患者に言う、「あなたに言う、起きて自分の床を担い、自分の家にお行きなさい」。そして起きた。そしてすぐに床を担い、みんなの前で出て行った。そこでみんながびっくりし、神に栄光を帰して言った、「こういうようなことは、これまで見たことがない」。
(「マルコ福音書」第二章 田川建三訳)


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婆さんが、めそめそ泣きながら、「(歩けなくなって透析に)来られなくなったらどうしよう?・・・」と泣き言を言ったら、「来られなくなったら、おしまい! おしまいよ!」とも言い切っていた。名言。



新約聖書 訳と註 1 マルコ福音書/マタイ福音書

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