ニッポンに妖怪が出る、日教組という妖怪が

「ニッポンに妖怪が出る、日教組という妖怪が」。

早い話が、「日教組が悪い!」「日教組のせいだ!」とはよく聴くけど、実態と乖離してるような気がするってこと。

中高大学と私学だったこともあるし、「愛知県」っていう管理教育で知られる地方に育ったこともあって、「日教組」と言われて、よく知らない。
中高の頃、教師の「時限スト」ってのもあったから、たぶんなんらかの組合活動はあったのだろう。あったのだろうが、よく知らない。当時父母が日本共産党員だったこともあり(1989年に転向してクリスチャンになったんだけどね)、日共的家庭環境に育ったので、「平和教育」「教え子を戦場へ送らない」等、教師が口走ったところで大して印象にも残らなかっただろうし。

が、この組織についてよく言う人に出会わない。
国家主義者からは、愛国主義を疎外すると非難をされ、左翼からは、一国社会主義的だと非難され....。立つ瀬がなさそ。

「教育荒廃の原因は日教組にある」という主張はわりと俗説としてよく耳に入って来る。
でも実態とリンクして見えて来ないんだよねえ。
ゆとり教育」が日教組の昔からの主張であったにしろ、決定したのは、文科省の訳だし、現場の教員たち(組合員にしろ非組合員にしろ)は、その方針に准じて行動しただけだろうし。
特に、狭義「ゆとり」の学習指導要項が採用されていたのが、02年〜07年。ってことは、「自民党を内側からぶっつぶす!」と吠えてた小泉内閣のまっただ中。その間、日教組の組織率は30%未満。
加えて気になるのが、その頃って、君が代日の丸拒否が教員解雇の要件足り得た時代でもある。ってことは、日教組最大のスローガンであった、「教え子を再び戦場へ送らない」の方針については、完全に敗北していることになる。 自民党小泉内閣時代にあって一国の教育行政を左右する程の団体だったんなら、まずは年来のスローガンたる平和教育を第一義に押し進めてそうなもんだよね。
一国の教育行政を左右する程の圧力団体足り得ていたとはとても思えない。

そういえば、千葉県で公立高校の教員をやってる大学の時の友人からは、「日教組の人いるけど、相手にされてない。あいつら、働かないもん」とかって聴いたような気がする。気がするけど、酒席のことでもうろうとしていてはっきりしない。 その時、彼から聴いた教育現場の話では、もっと強烈な話がいっぱいあったし。(不登校対策に、教師による家庭訪問がかなり頻繁に行われていて、しょちゅう家庭訪問してて、問題生徒の家庭っていうのは、大概問題のある家庭。親は働いてないし、家庭内暴力頻発、その証拠に家中破壊されててぐしゃぐしゃ。とにかくそっちが忙しくて教師たちは、連日残業休日出勤日常茶飯事)

「教師」「教育」についての好みを言えば、ひたすら、「学問叩き込むマシーン」と化して、効率的に読み書きソロバンを押し込もうと腐心してる教師が好きだし、学校が好き。

実際に教師やってみればわかるだろうけど、ものすごい労力なんですよ、この「効率的に叩き込むための工夫」って。最低限、こっちがその学問について習熟している必要があるし、加えて、その学問について完全に興味のない人間をこちら側へひっぱりこむ必要があるし。実労時間の三倍くらいの時間かけて準備して、本番九十分間相手の興味を引き続けていようと必死になって頭フル回転しつづけると終った頃にはふらふらになる。けど、まあ、仕事としてきっちりやろうと思うなら、やりがいはある仕事なんだろう、僕はあんまりやりたくないけど、学校嫌いだし。

学問のほかは別に教師や学校に教わらなくても自前で用意するでしょう、生徒たちは。君が代日の丸も余計なお世話だが、反君が代日の丸も余計なお世話だ。学校ではひたすら読み書きソロバン教えてればいいだろう。
いいだろうとは思うが、これすら、教員の裁量を超えることらしい。なんか工夫をしようとすると、教務から(組合からじゃなくて、労務管理者からね)横やりが入るって話もどっかのブログで読んだ。「学習指導要項」が、「詰め込み教育禁止」ってことになってたんだから、自民党小泉政権下で熱心に勉強教えようとしたら、学習指導要項に反してる訳で、日の丸君が代拒否なんかと同じく解雇の要件になったわけだから、その前にやんわりと説諭されたのだろうが。

しかし、だ。しかし、教員たちが、家庭訪問で体力すり減らしてふらふらになってるって現状もどうなの? 過重労働は、教師だろうが、新聞屋だろうがかわらないだろう。教員だって人間なんだろうし、まごうことなき賃労働者なんだから、労働条件は適正にしてあげないと、死んじゃうだろう。同じ公務員の役人さんたちは、九時五時の週休二日で、教員は八時七時で連日休日出勤? そっちは、きっちり労働法に准じた実態にしていってやるのがスジってもんだろう。
で、労働条件の緩和のための方法って、21世紀になってもあい変わらず、労働運動しかない訳だから、教員も労働条件改善のための労働運動は活発にやるべきだろう。

で、どうなの?
教育荒廃をもたらせる程に影響力のある組織なの?
それとも、変わり者の頑固者が集まってうだうだやってる様子が圧力団体に見えてるだけなの?