「96時間」を観て来た。
製作/脚本リュック・ベッソン。
監督ピエール・モレル。
☆
見事に90分の映画。
とにかく展開が速い。これぞノンストップ。時間に追われて、主人公は一切躊躇しない。小物のポン引きにかかわってると時間を食うので、そういう小物は不慮の自動車事故で死んでもらう。格闘にも、カンフーなんていうまどろっこしいものは使わない。「正確に急所を突けば敵は昏倒する」とばかりに泥臭く効率的に相手をぶちのめす。人道主義や移民保護とかにかかわるのは面倒くさいので、そういうものもナシ。効果的に情報を引き出すために手っ取り早く拷問もする。「時間がないんだ」と脅迫のために友人妻の腕をあっさり撃ち抜く。実にわかりやすい。
☆
この映画の教訓は?
「母親だの継父だのとグルになって実父をだまくらかそうとするような17歳女子は薬物を強制投与され人身売買市場で競売にかけられるのがオチである。故に父さんとの関係を一番大事にしなくてはいけないよ」
実に教訓深い映画。
風紀紊乱薬物蔓延父権疎外が看過ならぬ火急の難問になっている今日、女子高生たちには、徳育目的で、この映画を視聴させることが必須である。
☆
それにしても90分の映画ってこんなに慌ただしくなるんだなあ。犯罪が単純凶悪化しながらも、分業アウトソーシングが進み、犯人特定が困難極めるのか。父娘関係は確かに複雑になっているんだろうが。
☆
リュック・ベッソン系の映画って、薬漬けの売春婦がしばしば出て来る。ハスっぱな女子は、理性が消える程に薬打たれて、手錠でつながれて、血まみれ痣だらけになるまでにがんがん殴られる。なにかとヒロイックに強い少女を主人公にしたがる風潮に抗して、女たちはぐんにゃりとか弱くひたすら暴力の標的にされながら反撃のきっかけさえ与えられない。
うむ。
フェミ系が喧しい世の中で、パリのリュック・ベッソン周囲だけが妙に酷薄に若年女子を折檻暴行しまくっていて特異だ。
面白いから、もっとやればいいのに。
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