イエスは大工だった。
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だいたい、イエスが常に十数名の「弟子」をひきつれて、毎日「神の言葉の宣教」をして歩いていた、といった類の像は、後世のキリスト教の僧侶や宣教師の姿を投影したものにすぎない。このように、仕事の都合からかなり広範囲に歩きまわれる人は、仕事の合間にいろいろと人と話す機会もあっただろうし、余暇を通じて種々の活動をなすこともできただろう。だから、生活の上からは――思想内容から言ってもそうだけれども――イエスは宗教家ではなかった。
（田川建三「イエスという男」1980）ISBN:4878936819
