はじける

 過労死か〈貧困〉か。究極の選択肢の中で、どちらの極にも振り切らずになんとか生き抜いていくこと。上手に立ち回ること。しかし、それだけが私たちの生の意味だといたら、それはあまりにも過酷ではないか?
 まず、ぼやいてみよう。みんな不満がある。それは間違いない。ただ、そういう不満を口にする前に、不満を飲み込ませてしまう装置(自己責任論)が働いているから、「そんな甘えたこと言ってんじゃねーよ」とか「おれは今のままで十分満足だよ。別に一生ここで働こうなんて思ってないし」といった反応になってしまうだけだ。しかし、そういう人も一人になったときにふと考えるものだ、と信じよう。「そうだよなあ。いつまでもこのままじゃ、やってらんないよなあ」と。とりあえず、それが一つ。
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 しかし、本当は、いっそのことはじけてしまうのが一番早いのではないか、と私は思っている。「はじける」にはいろいろなレベルがあるが、告発する、訴える、暴発する、爆発する、いずれにしても声をあげることだ。

湯浅誠「貧困襲来」ISBN:4903295109








:第7章「私たちにできる10のこと」の中から、「6 ぼやく」の終わりの部分と、「7 はじける」冒頭の部分。