つかれてふらふらしてて、夕方から映画へ行った。
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「第9地区」。
面白かった。
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アバターは先住民問題だったが、こっちは移民問題。
「アバター」のパンドラ先住民が開発業者との戦いに負けていたら、「エビ」と化して地球に移動するしかなかったのだろう。スラムに棲み、廃棄物を漁り、敵意と排斥の中、無意味な侮蔑を受け、蔑称で呼ばれ...。
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直前にマイミクの人の「在留外国人に選挙権を与えるのは危険でしょ? 日教組も日本を滅ぼすよね?」っていうエントリーを読んでいたので余計に臨場感があった。
そういえば、昨日、北朝鮮の魚雷が韓国船を撃破した、なんて話も聴いた。
なんかねえ...。
20世紀に日本は、東アジアの宗主国として経済を急発展させたってことは定説の訳で、然もそのあと無惨な「敗戦」を期していること、戦前植民地主義の贖罪を不器用にごまかしたままに21世紀の国家的没落を迎えていることも明らかな訳で。なんか重いねえ。堂々と移民の黒人を大統領に選んだアメリカ人たちみたいに正面から評価できないよねえ。
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「移民排斥政策をとった直後、実力排除直前の出来事。ところでその三年後は?」とか、ものすごい臨場感。
日本にフラジル系の移民やら中国系ミャンマー系の移民が流入してから15年くらいか? 朝鮮系移民は半世紀余? いや、80年くらい?
「半世紀前」って言えば、望月サニーヴィレッヂにカラマツが植林された頃。 半世紀経てば、カラマツだって林になる位の年数なんだから、移民たちもそれなりの根付き方をしていない訳もない。
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特に僕は、九十年代には、不法就労外国人に混じって就労していたような経歴の人間なんで、なんかねえ...。「エビ」が、ミャンマー人のthet thetさんやらネパール人のビソ一家やら中国からの医学生呂くんやら写真家の秦如美さんやらにだぶって複雑。
thet thetさんやビソたちは、その後、捕まって国外退去になった。呂くんはとっくに卒業してる筈。東京医科歯科の婦人科だったけど、アメリカへ行きたいって言ってったっけ。アメリカ留学ビザ取れたんだろうか? 秦さん、どうしてんのかなあ。「エビ」とか言ったら、本気で怒られそうだけど。
なんか...いろいろ....。
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ともあれ、面白かった。特にヨハネスブルグのスラムでのロケが素晴らしい。「ガンモ」とかでもそうだけど、「スラム」ってそれだけで映像的に強烈だよね。
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新宿ピカデリーで、開始時間まで時間を持て余して、テーブル脇に身体をもたせかけて、スタンダール「赤と黒」を読んでたら、ポップコーン持ったカップルがテーブルに酔って来て、ポップコーン齧りつつ歓談しはじめた。
鬱陶しかったんで、写真撮った。
確かにテーブルは使ってないが、その脇に身体もたせかけて休んでるんだ、ひと声あってしかるべきだろう、なくてもいいんだけど、むかついたから、厭がらせに写真撮った。
それだけなら、それでおしまいなんだが、その後、この小柄な体脂肪率高そうな男が同伴の女の子にむけて、これから観る映画の解説として、「第九地区」のあらすじを自慢 "毛" に語り始めたもんだから、怒りが閾値を越えてしまった。
「おい! あらすじ喋るなら、あっちへ行け!」とフロア中に響くような大声で怒鳴りつけて、シッシッ! と手招きを交えて追っ払った。
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なんかねえ。ほぼ野菜しか喰えなくてカロリー足りなくて常にハラペコ状態で気が立ってるってのもあるんだが....もともとの凶暴な性格がとしとってきて全開してるってのも大きいよなあ。
身体障害で体力は明らかに落ちてる訳だし、こんなことやってるとそのうちに大けがするよねえ。
だからといって、止めらんないんだろうけど。
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そんなこんなで、いろいろ印象に残ってしまった「第九地区」。
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