暇つぶしに、カントを翻訳。気に行ったので、再掲しておこう。
おめえさんがた、おめえさんがたはてめえの『戒め』だけをしっかり護って生きていきなせえよ。でもよ、そん時に心しておかねばなんねえことがあんのよ。それはな、てめえの『戒め』が、いつでもどこでも誰にでもあてはまってひとっつも間違ってねえ『掟』になってるかどうか、ってことさ。『掟』になってねえような『戒め』なら、まるでダメさね。『戒め』は同時に『掟』になってなきゃいけねえ。いいかい。そこんとこ忘れちゃなんねえよ。
(カント翁『道徳講話』)
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「あなたがたは、『マキシム』だけにしたがって行動しなければなりません。
この時、同時にその『マキシム』は、どんな世界でも通用するような法になっていなければなりません。」
(カント「倫理の形而上学的基礎づけ」より)
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"Act only according to that maxim whereby you can at the same time that it will a universal law."
- Groundwork of the Metaphysics of Morals :Immanuel Kant
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„Handle nur nach derjenigen Maxime, durch die du zugleich wollen kannst, daß sie allgemeines Gesetz werde.“
– Grundlegung zur Metaphysik der Sitten :Immanuel Kant
AA IV, 421
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「汝の格率が普遍的公律となるよう行為せよ」
(カント)
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「返済気にせず学んで 法政大教授が給与・退職金・遺産で独自奨学金」に感銘を受けた。この「牧野英二」教授、カント学者らしい。咄嗟に思い浮かんだのが、「汝の格率が普遍的公律となるよう行為せよ」っていうカントの言葉。「カント学者としての矜持が光るなあ」と。
カントのこの言葉、早稲田大学の哲学科の時に覚えた訳じゃなくて、東海高校3年時の現代国語で、岡先生に習って憶えた。丸山真男かなんかの文章でカントの名前が出てきて、誰かが、「カントって誰ぇ?」(名古屋弁)って訊いたら、「これがカントで有名な言葉だ」と言って板書してくれた。岡さんって京大の西洋哲学出身で、卒論はカントだったんだって。もっと哲学の話聴きたかったけど、哲学の話してくれたのは、この一瞬だけだった。岡さんが引用したのは、天野貞祐訳とかなんだろうか? こうやって並べてみると、なるほど簡潔にして精確な翻訳、と感心する。他の翻訳だともっともっちゃりしてる。カントの文章ってもっちゃりしてるんだけどさ。
(精確な翻訳は、岩波文庫なりを参照してください)
- 作者: カント,Immanuel Kant,篠田英雄
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