卯月妙子「人間仮免中」、そして菊地直子



卯月妙子人間仮免中」読了。
これはすごいマンガだよなあ。
mixiの日記やらブログやらが途絶えた後の顛末。十数年振りの新作。三年がかりの製作だったようだ。
5月22日に初刷が出て、僕が持ってるのは6月1日発行の2刷だから、かなり出ている様子。

山本直樹が「実録企画モノ」の帯に「卯月さんのマンガは地獄の壁に一度タッチしてからもう一度こっちへ帰って来たくらいすごい」とか書いてたけど、この新作もそう。この人の凄いところは、一度向こう側へ行っちゃってからちゃんとこっち側へ帰ってくるところ。ぼろぼろになりながらも帰って来てる。

メインのストーリーからはハズレるけど、「とり藤」の大将が「お客さんに言ったことはないんだけど・・・」と告白するシーンで、鳥肌が立った。

傑作。
☆☆


読んだ同じ日、「オウム菊地直子逮捕」のニュースがさかんに聞こえて来た。

神奈川県警大和署には3日午後10時15分頃、自称大和市の内装工の男(41)が、「ニュースで流れた菊地直子と一緒に住んでいた者です」と名乗り出た。
 同署は、男から事情を聞いた後、午後11時40分頃、警視庁の捜査員に引き渡したという。
 同署によると、男は、菊地容疑者と横浜市の勤務先で約6年前に知り合い、同居を始めた。男はプロポーズをしたが、菊地容疑者は偽名を使っていたことを明らかにし、「結婚できません。実は私は、菊地直子です」と打ち明けたという。
 男は、「私はオウムとは全く関係ない」と話している。名乗り出た理由については、「報道に触れて、行かなければいけないと思った」と説明しているという。
(2012年6月4日08時50分 読売新聞)

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20120604-OYT1T00133.htm

これも悲しい話。
菊地直子と同棲相手が住んでいた廃屋と見紛うボロ家と一緒になってひっかかってくるエピソード。女を「菊地直子」と知ってなお、あそこに二人で暮らしてたんだなあ。

菊地直子が「私は菊地直子だから結婚できません」と言った話と、卯月妙子人間仮免中」が、二重写しになって見える。
菊地のことを好きになってしまった男。
卯月を好きになってしまったボビー。
女にひきずりまわされるようにして生きていくこと?
でも、その女に寄り添おうとして生きていくこと?






人間仮免中

人間仮免中

実録企画モノ

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