2030年代のダメ人間たち


ビートたけしが漫才師として映画に出てた頃の映画界って、演出陣は東大出のエリートのナレのはてばっかだったらしい。東大出の監督たちがどうしようもないんだって話をラジオ深夜番組でえんえん喋ってたっけ。
それらの演出陣を見て、ビートたけしは、「あれならできる」と舐めてかかって、北野武になった。「映画なんて、浅草の軽演劇と同じようなもの。あれくらいならオイラにもできる」と踏んで映画に入っているから、先輩映画人への尊敬が一切ない姿勢で映画に取り組んでいた。TVにも寄席にも出れないような若手コメディアンを主役に抜擢したり、仕出しの男の子ふたり組を準主役に使ったり。「映画業界」に尊敬の欠片でもあったら、あんなことはできなかっただろう。「TVのバラエティ番組一回分の予算で作るんだろ? なら、チャッチャっと撮っちゃお」って姿勢から出た暴挙だった。


さて、話は、映画のことでも、「世界の北野」のことでもなく、未来のことだ。

仮説:)
エリート大学生が就職に群がる産業は、三十年後に没落する。

80年代前半まで就職の花形だった、出版業界やら新聞業界やらの今のにっちもさっちも行かない窮状を思おう。「産業構造の変化による衰退」ということもあろうが、電子書籍への移行の足枷などを眺めるにつけ、それだけでもなさそうだ。
1970年代の浅草軽演劇やら1980年代の映画会社演出部やらに所属してたような「ダメな人たち」が、そこに巣食っているからという側面も大きそうだ。

僕と同世代のバブル世代から考えるなら、テレビ業界や不動産業界が、10年以内に、80年代映画産業状態になることだろう。
若い頃は就職活動優等生だったダメ人間が巣食って身動きとれないままに絶滅しようとする恐竜産業と化すことだろう。
ちょっと愉しみだ。

2030年代、証券産業やネット産業はどん底にいる。
「あそこの旦那さん、アメリカの偉い大学...マサチュー大学とかってとっても偉い大学出てるらしいんだけどねえ....奥さんがパートで家計支えてるんだって? ......なんでも若い頃は相場師の手伝いやってたらしいんだけどねえ....今もうそんなもんアレでしょ? 仕事もなんにもないらしいのよ! なんでそんな賢い人が相場なんかに手をだしたんだろねえ...あれねえ、男は手に職つけて汗水流して働かなきゃねえ..」とか陰口されていることだろう。
気の毒なことだ。