東京綜合写真専門学校学園祭について


五期生(ってことは四十五年前の卒業?)っていう爺さんが、いろいろ演説していた。 学生つかまえて、「なぜこの写真を撮ったんだ?」とかやってた。「写真検討」ってスタイルは、開校当時からつづいてるってことなんだろう。

第一期生に、「英伸三」がいた。卒業生とは知らなかった。

校友会のおじさんおじーさんたちがステレオタイプに酔っぱらって「今の校長は谷口ってのか? その谷口っての呼べ! ガツンと言ってやる!」とかやってた。 高円寺荻窪のたちの悪い酔っ払い爺さんたちにそっくりだった。 「会長! まあ、一杯いきましょう、会長!」って言ってるから、飲み屋とかの「シャチョー!」みたいな呼称かと思ってたら、ほんとに校友会の会長だったらしい。料理写真家の山本とかいう人。全然知らない。ハンバーガーの写真撮ってたらしい。

卒業生の女の人が、泥酔してリバースしてた。 学生たちは、ほどよく酔っぱらって遊んでた。

「誰も教室で煙草吸おうとしないよなあ」と不思議だった。 「酒より煙草の方が悪徳なんだ」とはじめて実感した。 そういえば、公共施設内での喫煙は法律で禁じられているが、飲酒泥酔は別に禁じられていない。 妙な話だ。 「酔うのはいいが、煙は吸うな」。 これって人類史上初の倫理観だろう。 「五戒」にも「不飲酒戒」はあっても「不喫煙戒」はない。「五戒」は破戒しても構わないから、健康増進法は遵守する? 仏罰が下ることであろう、アーメン。

二日目疲れているところに、ハゲのじいさんが、絡んで来て、鬱陶しかった。「・・・うるせえなあ・・・」とあと一瞬で、手がでそうになった。
「あのハゲのじいさん、誰ですか?」とあとで森田さんに訊いたら、小山っていう元教師だった。「おじいさん、うるさいよ。帰りな」とか言わなくて良かった。 なに教えてた人なんだろ。

ドブロクが切れて、酒粕清酒混ぜて出してみた。
これまた別のOBのじーさんが来て、「呑む」っていったけど、年寄には呑ませたくなかったので、すこしだけ試飲させたら、「ああ・・・まだ酒になりきってないね」とか言った。
そんな訳はないんだが。だって菊正宗に酒粕混ぜたんだもん。

地下にあった波多野康介の映像が面白かった。AVを見ながら右手を上下させてる男の姿を後ろから撮ったものと、死んだメダカに筆ペンで彩色して魚拓を取ったりスキャニングしたりしてるものの二本。「エロスとタナトス」と言えなくもない。でもそんな陳腐に押し込めないで、ばかばかしさに浸っていたい感がある。あの手のばかばかしさが好き。あの手のばかばかしさに焦がれているのかもしれない。
校友会のでは、青柳健介のがなんだかわかんなかった。なんか彫刻みたいなものを出してた。なんだかわかんない。わかんないねえ、彼。自覚的に「もの派」とかについて知ってるのかな? とかも思うけど、とりあえずわかんない。本人と話してもさらにわかんないんだろうと思う。よくわかんない子なんだもん。圧倒的にわかんないものってぞくぞくする。なんかになってけるといいよなあ、ああいう子。
「わかりやすさ」と「わかんなさ」。 どちらにしろ、男の子たちは、出口なく所在なくうろうろきょどきょどしてる印象はある。 だからこそなんか気になるのかもしれない。

21世紀の写真女学生たちは、如才なく勤勉に働き、ほどよく遊んでる。

OBたち、デジタル移行についての義憤は述べるが、なぜか「出版業界逼迫」については語ろうとしない。 これだけ雑誌関連の出版社がバタバタ倒産してて、写真関連に無関係な訳はないんだが。

林家ペーくらい聴けばよかったかな? 「トークって・・・ぺーさんってひとりで長時間喋れるのか? 芸歴長いからなんとかするのかな」とちょっと興味があった。 結局、大西みつぐがインタビューする形だったらしい。なら聴かなくて正解か。 インタビュアー大西みつぐは、学生たちに大変不評。「写真の話に行っちゃって、ぺーさんから話を聞き出せてない」「しゃべりがかぶる」「インタビュアーがダジャレをはさむのって・・・」等々。なんのかんのと大西みつぐは、学校で「嫌われキャラ」のようです。もっとも「嫌われキャラ」って学校にとっては必要不可欠。卒業してから悪口で盛り上がれる対象っていうのは、なくっちゃいけない。

「大勢に通用する料理を作ってみたい」という初期目標でもって参加した訳だけど、学祭参加の動機としては間違ってた気がする。学生たちの居場所を奪ってたのだろう。よくないよね。