混乱時に流行るもの


珈琲屋では、爺さん三人組が歴史談義。
男の年寄って、歴史が好きだよな。
脇で聴いてても、なに話してるのかわかんないのが、あれです。
歴史の話って、徹底して固有名の羅列になる筈なんだが、
「あの、あれが、なにした時に、あのほれ、なんだから・・・」と、
指示代名詞だけで進行していく。
固有名を時系列に並べなければ、歴史になりゃしない。

歳とると、唯名論ができなくなるんだから。爺さんたちには無理だよ。
名前が抜けるから。
となれば、実念論でいくしかなかろう。
しかし、実念論歴史学は、同居できない。
名前が憶えられなくて、実念論的戯言しか吐けないなら、観念哲学でもやるしかなかろう。

実際、形而上学なんて、ほんとに老人向きなんだが。
哲学業界用語で、ややこしくなってるだけで、ハイデガーなんて逐語訳したら、バカみたいなもんだと思うんだが。
漢字なしで、平仮名だけで、書けるんじゃないの?

ハイデガーが流行ったのは、大恐慌の頃か?
リーマン破綻から金融失墜に結びついて、その挙げ句に実体経済がむちゃくちゃになるっていうなら、今こそ、形而上学が狙い目かもしれない。

最近、元漫才師が、映画監督を経て、独裁政治に興味を示してる。
なんかできすぎた茶番なんだ、けどさ。
ムッソリーニって、実に漫才師っぽい人だったらしいし、ヒトラーは、戦況を日々ニュース映画で確認しつづけたっていう程に、映画の人。
ここまであからさまにやられると、げんなりするが、解散総選挙の後、日本の政治は混乱しまくるらしい(アメリカ議会報告にあるんだって)し、加えて、世界的な金融不安(→そろそろ金融危機?)があるから、時期的には実にはまるんだよね。

で、だ。
政治経済の混乱するの中、学問では、いきなり平仮名書きの形而上学アリストテレスから発して、徹底して平仮名だけで思弁的に記述される形而上学がなんの前触れもなく復権してもおかしくはない。
混乱の中で、固有名の羅列の「表象文化研究」の”萌えアニメ論”なんて読んでらんないだろ、普通。「マンガ表現論による映画的とは」なんて付き合ってらんない、くどいわりに無内容でばかばかしくて。

古代ギリシア語をいきなり現代平仮名で表記してしまうような厳密な学。
これだろ。
(その実、固有名が憶え切れなくなった老人向けうわ言の集積)