「行動ファイナンス」について。
世間の様子を見ると、むしろ行動ファイナンスで研究されているような「間違いのパターン」が金融商品の開発やマーケティングに体系的に利用されているような印象を受けます。お金の世界で投資家が「間違いを犯す」ということは、要は投資家が「損をする」ということです。これは、誰かがその「損」をもとにして儲けることが出来ることを意味しますが、どうもそうした「理論の悪用」が相当程度体系的に行われているように感じます。
これまで、理論の応用といっても、運用技術などに使って資本市場を相手にしている限り、常に儲かるというようなものではありませんでしたが、金融商品などを通じた広い個人顧客相手の応用(=悪用)はどうやら安定的で大規模な収益を生むことに役立っている感じがします。儲けへの応用という意味では、経済学の理論的な研究として希有な成功例かもしれません。
山崎元「お金をふやす本当の常識」日経ビジネス人文庫 ISBN:4532193079 より。
「効果的にだまくらかすために有効な理論」ということで、俄然、興味がわいた。
同書に挙げられているのは、
1)プロスペクト理論→損に対する過剰なこだわり
2)後悔回避→将来の後悔を過剰に嫌うあまりに、必要以上のコストをかける。
例:住居不安からのマンション等への投資、経済パニックに備えた外貨貯金や外国債の購入等
3)オーバーコンフィデンス(自信過剰)→文字通り。
「オレ様の情報からするとこの株が上がるに決まっている! 未来はオレの手の中」
4)メンタルアカウンティング(心の会計)→同じ金でも、収入名目や使途などで別々に評価しがち。
例:給料だから大事に使おう。競馬で当てた金だから、使っちゃえ!
「ケーキはベツバラ」っていう理屈もこれか? 同じカロリーでも「ごはんの大盛り」はダメで、”スウィーツ”ならOK。あと「しあわせ太り」って言葉もこれっぽい
註:阿呆っぽい例は、山田大輔による改竄があります、あんまり信用しないように。念のために
なんか使えそうな気がした。「行動ファイナンス・アート」。
☆
同じような発想で、「ワンクリ詐欺アート」ってのも考えた。
☆
作品の前に立つと、なんか如何にもな反応(スキャナー風に頭の先からはじめて順繰りに足先まで走査線が横切るとか赤いレーザーを心臓近辺にあてるとか)があって、「あなたの住所氏名生年月日家族構成連絡先のスキャニングを終了しました。あなたは、当作品の振興会員に登録されました。後日指定口座をお知らせしますので、すみやかに入会金および年会費をお振込ください。」と表示される。
ひと頃、ICCなどに溢れてた「インタラクティブ・アート」の21世紀的な発展だろう。
☆
「ワンクリ詐欺」については、「精神的苦痛を与えた」こと等について30万円の支払い命令が出ているから、請求しなくても、アウトなのだが。