ジョーカーの一眼レフ


BATMAN THE KILLING JOKE」を読んだ。
ジョーカーとバットマンが互いを理解しあう話? バットマンはジョーカーを殺した話? どっちも死んだ話????? なんだかわかんない話。1988年初版だから、もう二十年前のマンガ。こういうのを読むと「ニッポンはマンガの先進国とか言うな」と思う。作画タッチとしても伝統的なDCのタッチってよりは、クラムなんかに近いのか? 谷口ジローとかでどうこういってちゃいけないよね。あの程度描く人はわりといるんだもん。


 80年代に於ける「一眼レフ」って、ある種の「負」のシンボル記号として登場する。いやそれ以前もか? スパイダーマンのピーター・パーカーも普段一眼レフをぶらさげ歩いているが、あれではっきりと彼はLOSERなんだとわかる。
 この「BATMAN THE KILLING JOKE」でも、ジョーカーは、一眼レフをぶらさげて登場する。ジョーカーは、仕事をやめてコメディアンになろうとしてなれないまま妻を失い犯罪に手を染め然も悪事に失敗し挙げ句の果てに気がちがった正真正銘のLOSERだ。
 一眼レフをぶら下げたLOSERなJOKERが、大金持ちで頭脳明晰で勇猛果敢なバットマンらに挑む時、スキャンダル・フォトが有効な道具になる。もちろん、道具とは言えバットマンに勝つための武器にはならない。苛立たせるための効果を持つ道具にすぎない。この時期、写真にできたのはその程度のことだったのだろう。
 ジョーカーは、勝てない。勝つためにもやってない。冗談のためにやっているだけだ。正気が狂気に侵犯されるところをみたいだけのためにやっているだけだ。
 

 そんなジョーカーの小道具として、35㎜一眼レフは、よくハマる。




Batman: Killing Joke

Batman: Killing Joke